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救心ちょうだい

そして、藤田ニコル似の子と一緒にラブホテルを出て、帰りの電車に乗ろうと、乗り換えアプリを見ると、あと5分位だった。

駅からはそう遠くないが、駆けなければ間に合いそうもない。

もしこれに遅れると、末端の僕も家に着くのが1時間も違ってしまうので、相手も気を遣ってくれて一緒に駆けて向かってくれた。

こちらは40代後半の中年太りの男、相手は20歳の華奢な女。

それでもまだまだ僕は若いと思って相手のペースで走ってはみるものの、息は切れるし、交差点まで本気になるのが精一杯で、それでも電車に間に合うように急いで駆け、帰る方向がお互い逆なのだが、僕にこの階段を上ってくださいと教えてくれ、もうそのホームに電車が入線してくる音が聞こえていた。

最後の挨拶をして、発車のメロディーが鳴っていたので急いで駆けあがり、扉が閉まる前に乗ることが出来た。

電車内は空いていてシートに座れる状態であったのだが。



心臓がバクバクで、意識が遠くなってしまった。

とっさにドア前の縦手すりをつかみ、倒れないように、平然を装った。

しかし、顔から冷や汗、心臓のあたりが激痛、周りから見たら、顔が青ざめていたと思う。

シートに座ったら、ベッドに横たわるようにならないといけない状態になって、他人に迷惑がかかる。


しばらくして意識も完全に回復したが、あれは危なかった。


間違えていたら電車の中で死んでいたかもしれない。

そんなことをしたら、客にも、鉄道会社にも、職場にも迷惑がかかってしまう。


思いっきり走って、急に止まったのもあるかもしれないが、自分の体力が異常に落ちているというのがまざまざと知らしめられた日だった。


藤田ニコル似とは、SNSのアカウントは知っていたが、連絡を取り合うわけではなく、途中婦人科の病気にかかり入院をしてから、募集はぴったりと止まり、本人も自分のしたいことが見つかったんだろう、僕としてもこれが最後となった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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